ゴルフ場で取り寄せたアイガモたちの看病記録 ~発育不全や脚の湾曲~

脚にトラブルのあったアイガモたちの看病や治療の経験談を紹介します。

2006年に池を囲むコテージが点在するゴルフ施設にお客様と触れあう環境を作ろうという計画があるとあひるネットワークに問い合わせがありました。

その時に取り寄せ、ゴルフ場にやってきたアイガモ100羽たちの中で脚に障害がみられたり、発育不全のアイガモたちを連れて来て、元気になるまで看病を続けた後、また池の群れに戻すという活動をされていた方がいらっしゃいます。
ゴルフ場の池にぜひアヒルを!との問い合わせがあった方の奥様バジル&ミントさん(2007.8入会員)です。
そのアイガモたちの保護記録や看病などをまとめましたのでご覧ください。


ゴルフ場施設内の池にアイガモ100羽を飼う
~取り寄せたアイガモたちの保護・看病~

<アイガモたちとの出会い>

ゴルフ施設内の藻がひどかった人工池も、カモ達のお陰で見違えるようにキレイになっておりました。
また宿泊客などにも、微笑ましい光景として受け入れられている様子です。
現在は、ホテルの園内やゴルフ場内を我が物顔で闊歩し、来場のバスや車を止めてしまうこともしばしば・・・
苦情が来ないのは、のんびりした土地ならではなのかもしれません。
聞いたところによりますと、ヒナも数十羽孵り、彼らも無事に親となり、ヒナを立派に育て上げ、徐々に2世も増えている様子です。

中ヒナに当たる頃、天敵は藻の駆除のため、池に放していた(名前は忘れましたが)魚だったようです。魚は70cm前後と結構大きく成長していたらしく、足の先や、中には下クチバシを1cmほど噛み切られ、4羽ほど我が家で保護しました。

たまたまオカメインコを11羽も飼っていたが為に、鳥に関して詳しいと思われていたようです。
「何とかしてくれ」と言われても、インコ類に関する知識しか持っていなかった私です。
その方法が鳥類と言えど、水鳥に通用するものなのかも分からぬまま、血の止まらない足先やクチバシの先を消毒し、とにかく血を止めなければと、小麦粉をつけて強制的に止血しました。

それもやがて元気になり、無事に群れへと帰りました。
カモのたくましさに感心したものです。

また別のカモは、足が麻痺して完全に立つ事が出来なくなり、座っている時、まるでオカルトのように足が身体の真横へと、ありえない方向に向いていました。
まだ骨が柔らかいはずの中ビナ期・・・。そのまま放置してはマズいはずと、素人判断でしたが、とっさに割り箸で添え木をし、人間用の包帯を巻くテープでグルグル巻きにし、強制的に足をあるべき方向へ固定。

ビタミン剤とカルシウム剤を、ひたすら飲み水に混ぜて与えました。
それが正しかったのかどうか、5日後、水浴びをさせようと添え木を取ると・・・・
その子が突然ドタドタと!!!走り出しました。

腰が抜けるほど驚きましたが、今は何の障害もなく、群れで元気に走り回っているそうです。

手当ての甲斐なく、死なせてしまった子も3羽います。
今の私なら、もしかしたら救ってやれたのではないか・・・と、今でも悔やまれます。しかしこれらの一件がなければ、きっと私の生涯、アイガモを飼おうとは思わなかったでしょう。
「会社でアイガモを飼う事にした」と聞いた時、「ア・・アイガモ!?アレって飼うものなの!?」と言っていた私です(笑)

主人も我が家のチビカモ達2羽のために、秋には庭に芝生を張るのだそうです。
「その芝生の手入れは誰がするんだ!!」と思いましたが、良く考えてみれば、ゴルフ場勤務一筋の主人は、その道のプロでした。
私は知りませんでしたが、芝生がイネ科になるため、カモは芝生を食べないのだそうですね。
カモの足に良く、雑草はカモが食べ、フンは芝生の肥料になる素晴らしい需要と供給だなぁと感心したものです


<1羽よりも2羽・・・家鴨たちは寂しがり屋>

私が見て来たカモ達は、栄養がキチンと吸収出来ず、成長が極端に遅れて弱り、圧死を避ける為に保護したチビガモや、怪我・麻痺カモばかりでした。
考えてみると、今、はじめて健康そのもののカモを育てています(笑)
アイガモがとても「寂しがり屋」という事を良く知っていましたので、1羽の方が良く慣れる事は知っていましたが、最初から、1羽飼いなら飼わない!!と思っていました。

はじめて保護し、1羽だけやって来たヒナは、「保温が重要!!」と、ひよこ電球を入れ、熱が逃げないようにカバーをかけた途端、30分も経たないで亡くなってしまいました。
保護したくらいですから、弱ってはいたのですが、それまでは私の後ろをチョコチョコと追いかけて来ました。

餌も食べていました。
水も飲んでいました。
カバーをかけ、人間の姿が見えなくなった途端に亡くなってしまったのです
寂しかったのが原因かどうかは分かりません。
しかし私には、どうしても死んでしまうほど弱っていたようには思えませんでした。

後々、それは大きな教訓となりました。
以来、保護は必ず2羽単位で行いました。
それが功をそうしたのか、総勢10羽に及ぶ保護カモが、我が家から群れへ、元気に帰って行きました。

そのような一件もあり、私は1羽飼いに対し、一種の拒否反応のようなものを持っているのかもしれません。
まだ若い、骨の柔らかい子でしたら、立てるようになる可能性が残されています。


<中雛時に見られる脚のトラブル>

下記は、今現在も掲示板の投稿や問い合わせでよく報告のある、中雛のアヒルの脚がそっぽを向いている脚が開いてしまって立てないなどのトラブルを持った子を立たせるまでにした時の経験です。

人間で言う大腿部(太もも?)のあたりの骨は歪んでいませんか?
そちらが歪んでいるようでしたら、添え木を当て、ガッチリとまっすぐになるよう、テーピングする必要があります
この際、血液の循環を止めないよう、テーピングの強さには注意が必要です。
足に触れ、冷たくなっていなければ大丈夫です。
(人間用の、包帯を巻く時に使用する紙のテープがベストのようです。
100均などで売っていますので、あれが剥がす時、一番羽毛が一緒に抜けず、本人も痛がりませんでした)
でなければ、湾曲がより酷くなります。
治る可能性はありますが、保障はありません。
結果として、痛い思いをさせてしまうだけかもしれません。
しかしやってみるだけの価値はあると思います。

もうひとつ、私はこのような子を、小児用の浮き輪に乗せていました。
空気をパンパンに入れてしまうと、浮き輪ごと引っ繰り返ってしまいますので、少し緩めに、あひるが乗った時に多少沈む位がベストです。
お腹と、真ん中に入った足の間にはどうしてもすき間が空きますので、そこにタオルをフワッと詰めます。
これで全体重が足にかかるのは、とりあえず防げると思います

これでしばし様子を見てみて下さい。
この状態で足首が伸び切ったまま、骨が固まってしまう子もいるようですので、その場合、足首にも添え木が必要です。

この方法で、治った子がいます。
少しびっこを引く程度ではありましたが、走れる程度には回復しました。


<嫌われてしまうかもしれません。覚悟が必要です>

余談ですが、その子に私は「イヤな事をする、痛い事をする人間」として、目が合っただけで威嚇され、怒られるほど嫌われました(泣)
嫌われる覚悟が必要かもしれません・・・・・。

このような自己流の施工が、少しでもお役に立てれば幸いです。
足をテーピングした後、私は「カルビタバード」という、液体状のカルシウム+ビタミン剤を飲み水に混ぜて与えていました。

ビタミン剤は脚気や痛みの改善に効き、またビタミン剤を補給する事で、よりカルシウムの吸収力が高まるのだそうです。
粉状のビタミン剤もありますが、文字通り浴びるように水を飲むアヒル類です。
餌に降り掛けて与えるより効果的なはずという、これは素人判断です。
(日にティースプーン一杯程度しか水を飲まないインコ類は、餌に降り掛けられる類の粉状を勧められます)

もう一つは、私は知り合いからゴミ袋がパンパンになるほどのレタスや青菜類が、毎日容易に手に入る環境でした。
(人間が食べるには固い、一番外側の2~3枚です。決して痛んでいるわけではありませんでした)
我が家で保護したアイガモ達は、毎日青菜を余すほど与えられ、青菜が主食かのような生活を送っていたのです。

治った子は、このうちのどれかが効いたのだと思います。
青菜に関しては、大量に食べさせるのは難しいかもしれませんが、多目に与えた方がいいのかもしれません。


<飛ぶ事の出来ない家鴨たちは、脚が命>

基本的に、アヒルの類は歩いていくらという生き物ですね。
足に何らかの障害を持ち、歩けなくなったアヒル類は、自分が「歩けない」という事を、キチンと認識しているのだそうです。

歩けない・歩けなくなったアヒル類の寿命は、一年前後。
前日までは元気だったのに、ある日、突然死している事も珍しくない。
鳥類は絶望に弱く、怪我などで己が再起不能と判断すると、自ら命の源である食を断ち、死を選ぶ。
しかも、周囲には限界まで弱っている事を悟らせません。
人間が「様子がおかしい」と気づいた頃には、手遅れである事が多い。
悲しい事ですが、それが現実なのです。
その日は明日かもしれません。
いつでも覚悟はしておいて下さい。
これらは獣医さんの言葉です。

足の不自由なアヒル類は、身体の自由が利かない為、羽繕いが満足に出来ません
その為、尾脂線の脂を全体に塗る事が出来ません。
水遊びをさせると、すぐに全身がグッショリと濡れ、深さがあると溺れます。
水浴びをさせてやるなら、人間がついている事。
水浴び後、タオルなどで水分を拭いてやる事。
身体が冷えているようなら、ドライヤーなどで乾かしてやる事も大切です。
通常のアヒル類の、ゆうに3倍は手がかかります。
テーピングなどの件は、飼い主が鬼にならなければ出来ません。

テーピングは、曲がった足をまっすぐにしようと、無理矢理固定する、痛みを伴う行為です。当然、アヒル達にはそんな事を理解出来ません。
昨日まで優しかったはずの飼い主、
どうしてこんな痛い事をするの?と、切ない声を出して暴れます。

しかも、鳥類とはいえ、骨の事 目に見えて回復する筈はありません。
人間の方が「もうダメかもしれない」と思うようになります。

そこでアヒルが可愛そうになり、やめてしまうくらいなら、最初からやらない方が、アヒルにとっては幸せかもしれません。

しかも、テーピングを施した以上、治っても治らなくても、自分を慕ってくれていたあのかわいいアヒルは、もうどこにもいないのです。いるのは、自分を見て威嚇する、すっかり嫌われてしまったアヒルです。

問いかけたいのは、

「そうなっても尚、一生面倒を見られますか?可愛がって、最後まで見てあげられますか?」という事です。

私もそのアイガモを治す時に、半年以上かかりました。
何度も私の方が絶望し、獣医さんの「生きてあと一年」という言葉が脳裏をグルグルと回り、足の不自由なアイガモを抱きしめながら泣いていた事もあります。

どうせあと一年の命なら、こんな痛い思いをさせず、好きな物を食べ、好きに遊ばせてやった方が、この子にとって幸せなのではないか?と、自問自答の日々でした。

そんな時、私に力を与えたのが皮肉にも、足の不自由なアイガモ、当のその子でした
生きる気力を失っていない澄んだ目で、泣いている私を見つめていました。
私を嫌って威嚇しながらも、抱っこされるとおとなしくしていました。
泣いている私に、「大丈夫?」と、問いかけているようでした。

この子は生きたいんだ。

こんなに痛い、イヤな事をされても、まだ生に対して絶望していない。
今やめてしまったら、今まで耐えて来た、この子の痛みは何になるんだろう・・・・。
やれる事はまだある。
やれる事をすべてやって、あきらめるのはそれからにしよう。


 <嫌われても続けたテーピング>

それから、私は鬼になりました。
湾曲してしまった足には、一本の添え木などではすぐにズレてしまう為、コの字型になったレールのようなものをホームセンターで購入し、大腿部から関節までの長さに切ってもらい、そこに大腿部がカパッと入るように上からはめ、テーピングしました。
アイガモが泣こうがわめこうが暴れようが噛み付こうが、問答無用でした。
血が止まらない程度に、徐々にテープをきつく締めて行きます。

最後には、私の姿を見ただけで威嚇し、ズリズリと這って逃げて行くようになっていました。
当然人間にも、歩かせようとしてやっている事なのに!!という思いが湧き上がって来ます。私だって、やりたくてやっている訳じゃないんだ。
人の気も知らないで、恩知らず!!と思います。

そこまで嫌われても、歩かせてやりたいか?
(しかも、治る保障はどこにもありません)
足が不自由でも可愛いまま、最後まで見てやるか
(その代わり、長生きはしない)

究極の選択だと思います。
しかし治らず、「なつかなくなって可愛くないし、これ以上責任は持てないから」と捨てアヒルにしてしまうくらいなら、最初から何もしない方がいいと思うのです。
そういう心ない人が世の中にはいるのも事実です

少しでも、不幸なアヒル類が減ってくれる事を祈ってやみません。

テーピングにつきましては、リスクや、飼い主の背負う辛さなども一緒にご公表いただければと思います。それでもと思うならば、お試し下さいという形でお願い出来ればと思います。

アヒルの為にも、飼い主さんご自身の為にも、決して安易な気持ちならばして欲しくはない。
それが私の本音です。冷たく聞こえるかもしれませんが、寿命を一日でも引き伸ばす事。
それがアヒルにとってより良い幸せとは思えないのです。
短くても、飼い主さんに愛され、尽くされ、アヒル自身も飼い主さんが大好きなまま、ひょっとすると、それがアヒルにとっては至上の喜びなのかもしれない。
人間不信にしてまで、立たせ、生き永らえさせてやる事が、本当にアヒルにとっての幸せなのか?

考えれば考えるほど分からなくなる、メビウスの輪です。



① ピータンのケース

生後一週間目。
雨により、ずぶ濡れになってガタガタ震え、衰弱している所を保護。
即座にタオルで全身の水分を拭き、ドライヤーで乾かす。
周囲のアイガモより体力がなく、若干の成長遅れが見られた事から、
群れから離し、我が家へ移動。

食欲減退の様子は見られない。
食後、家内を移動する人間の後を必死に追って歩く。
寝る時間になり、ペットヒーター(ひよこ電球20w)を設置した小さな鳥かごの中
(餌・水は入れない)に入れ、保温の為、全体にカバーをかける。
鳥かごの中から外及び人間の姿は見えない。

30分後、様子見の為に中を覗いて見ると、死亡していた。
死後硬直ははじまっておらず、まだ身体は暖かかった。


② ピースケ・ピーマンのケース

生後3週間目。
大勢のカモ達もスクスクと成長し、換羽がはじまりかけた頃、ひときわ目立つ
2羽がいた。
手の平サイズからまったく成長の兆しを見せず、大勢のアイガモ達との体格差はもはや3倍近くとなっていたが、その体格差をものともせず、
後をついて周り、餌の時間には彼らの足の間から頭を出し、食べていたため様子を
見る事にする。

数日後、足が麻痺し、歩けなくなっているピーマンを発見。
ピータンのケースから、ピースケと共に保護。
ピーマンの足は歩けないだけで、痛覚が麻痺している様子もなく、単に足に力が入らず、立てないだけの様子。
アイガモは集団で固まって寝る習性があるらしく、3段重ねで寝ている場面も目撃。
圧死を避けるためにも、一時群れから離す必要ありと思われた。

間近で観察し、ピースケの足が異様に細い事に気がつく。
身体が手の平サイズから成長していない事もあるのだろうが、足はまるで爪楊枝が2本出ているようだ。
手の上で引っ繰り返しても、抵抗する体力もない様子。
4~5cm程度の段差も越えられない。
脚弱を疑い、カルシウムの摂取を開始。
近所のホームセンターでカルビタバードというカルシウム+ビタミンの液状鳥用サプリを発見し、飲み水に混ぜて与える。
同じ頃、食の細さが悩みのタネであった。
2羽で大匙3杯程度の餌を一日かけて食べる。
糞便は健康を表していたが、栄養吸収障害を疑い、ガーリックバードというスタミナ増強目的の液状サプリも飲み水にプラス。
その名の通り、ニンニク臭がある。
いずれもインコ類用のサプリである。

また食欲増強の為、餌には卵黄粉を混ぜて与える。
共食いのように感じられるが、人間にとっての栄養ドリンクのような役目を果たす。

1週間が経過した頃、足の麻痺していたピーマンが立ち上がり、先頭を切ってトコトコと歩き出した。2羽で5cmほどの段差をピョンと軽く飛び越える。

冷蔵庫にあった白菜を細かく切り、与えてみる。
ガツガツと、結構な量を残さず平らげた。

野菜を与え始めた頃から、急速に身体の成長がはじまった。
もうあの貧弱なピータン・ピーマンではない。
もう大丈夫だ。

それから5ヶ月後に、成長の追いついた2羽を群れに帰す。
プールしか知らない2羽は、池の中島まで辿り着いたものの、そこから出られなくなり、人間にボートで保護されるなどのエピソードもあったが、仲間にも馴染み、元気にしている。

余談だが取引先の人に種鳥として数羽譲って欲しいとの依頼があり、承諾したところ、連れて来た中にピーマンがいた。
「体格もいいし、羽艶もいいし」と絶賛だったという。
現在メスのピースケは群れ暮らし、オスのピータンはハーレム暮らしをしている。


③パー子のケース

生後一ヶ月。
歩けなくなっているアイガモを、スタッフが保護して来た。
元気だし、餌も良く食べる。
しかし、右足が付け根から外れたような状態で、座っている時、右足は身体の真横へ
まっすぐ伸びていた。

社で様子見の為に2日を過ごし、我が家へ移動。

立ち上がれこそしないものの、左足は若干の力が入れられる様子。
右足は折れている様子もなく、プラ~ンといった状態。
自分の意思では動かすことも出来ないようだ。

動く時は左足を使って這い歩き、右足は飾りでもあるかのようにその方向へ好き勝手に動いて行く。

脱臼か?
とりあえず、そのまま放置していいはずはない。
何か添え木になるもの・・・・。
持ってきたのは割り箸だった。
割らずに、真っ二つに真ん中からへし折る。
足を傷つけないために、ビニールテープで全体を巻く。

それを添え木として、大腿部に当て、人間用の包帯止め紙テープで、羽のある部分だけを仮止め。
その上から、ビニールテープでグルグル巻きに。
それだけではまだ足があさっての方向へ動く為、更にテープを長く切り、右足ごと胴体へ固定。
翼の部分へ引っ掛かるよううまく利用し、身体を動かした時、ズレないように。
羽にテープがつかないよう、胴体部分にはティッシュなどをつけ、粘着力を弱くさせた。

その状態で5日間放置。
あえて狭い場所に餌や水と置いていた為、ストレスがたまっているだろうと、水浴びをさせてやろうと決心。

テープや添え木を外し、プールに水を張るため、一旦その場を離れた。
戻って見ると、ドタドタ走り回っている一羽の姿が。

パー子はピースケ・ピーマンと同時期の保護カモである。
「どうしたの、ピーマン?ゴハンなかった?」
と言ったものの、何か違和感がある。
良く見ると、ピーマンではない。
ピースケでもない。
「パ・・・・・・・・・・パー子さん!?」
(何となく「さん」付けで呼んでいた)

間違いなく、オカルト姿のパー子でした。
歪みが現れる事もなく、スッキリと立ち、走ってさえいる。
触れた足には、不自然なふくらみも一切ありません。

パー子にも、矯正の他にピースケ・ピーマンと同じく、カルビタバード・ガーリックバード・3日に一度の卵黄粉・毎日の大量野菜が与えられています。

ピースケ・ピーマンより一足先に群れへ帰ったパー子も、何事もなかったかのように暮らしています。


④ パセリのケース

生後四ヶ月。
この子こそ、一番苦労した子でした。
やはり足の麻痺でスタッフに保護され、パー子のケースから「そのうち勝手に立ち上がるだろう」と甘く見られ、保護から1月以上を社の、主人のデスク横で過ごしてしまいました。

広い池で泳がせるわけには行かず、私の「子供用のビニールプールでも買って、その場しのぎでも水浴びさせてやらないと」という一言を聞くまで、「プール」という発想もなかった様子です。

スタッフの世話ぶりに見かねた私が「うちで面倒を見る!!」と叫び、我が家へ連れて来られた時には、既に保護から2ヶ月近くが経過。
床ずれにより胸の羽毛はところどころハゲ、胸はすっかり扁平になっていました。
足は、もう酷い有り様でした。
左右とも完全に内側の腹部下へ折れ曲がり、キャタピラか何かのような状態。
間接は固まり、伸ばそうとすると痛がり、足首の果てまでが内側に折れ曲がった状態でした。

触れてみると大腿部にも歪みが生じ、本来一つしかないはずの間接が二つあるような
有り様です。
まずは大腿部の骨の歪みを多少でも直さなければ、立つ事さえ出来ない。

パー子の時のような割り箸は、パセリには通用しませんでした。
すっかり歪んだ大腿部に一本の添え木をしてもすぐにズレてしまうのです。

そこでパセリの足の付け根から間接までの長さを計り、コの字型のレールを買う為に、近所の金物を取り扱うホームセンターへ。

ちょうどいい太さのレールを発見し、調べておいた長さに切ってもらいました。
一緒に2cm幅のL字金具を2個と、20cmの、棒板状の、ネジ穴のついた金具を一つ購入。
小児用の小さめの浮き輪が売っていたので、それも購入。

棒板状の端に、L字金具をそれぞれネジ止め。
L字金具を止める位置は、カモやアヒルが立った時の足幅が目安。

L字金具を取り付けた場所に、すっかり内側を向いたしまったパセリの足を無理矢理乗せ、テープで固定。2cm幅では足首にはちょうどいいのですが、水かき部分が摩擦で傷ついてしまう為、ダンボールなどを水かき部分を開いた大きさに切り、金具と水かきの間に入れる事で解消されました。
これで、座っていても立っているのと同じ状態で足が固定されます。

あとは大腿部の歪みには、コの字型レールを使用。
上からカパッと大腿部にはめ、羽毛のある部分は紙テープで、その他はビニールテープできつめに止めます。
2~3分経って足が冷たくなっていないかを確認。
冷たくなっているようなら、血が止まってしまっているので、テープを緩めます。

そんな強制器具だらけのパセリを、今度は買って来た浮き輪の上へ。
空気をパンパンに入れると、見慣れないものに乗せられたパセリは暴れて浮き輪ごと引っ繰り返り、不自由な足で脱走。
緩めに空気を入れ、乗せたときに多少沈む程度で落ち着くようでした。
浮き輪の中では足とお腹の部分にどうしても空間が空く為、そこにはタオルをフワッと詰めます。
お尻の部分がどうしても糞便で汚れますので、気がついたらマメに拭いてあげていました。

その状態のパセリは動けませんので、100均などで売っているプラケースを引っ繰り返し、その上に餌と水を置きます。
やはり野菜が主食の生活・カルビタバード・ガーリックバード・3日に一度の卵黄粉はパセリにも与え続けていました。

2~3日置きに、コの字型レールのテーピングを締め続けて行きます。

毎日矯正器具を外して水浴びはさせてやっていたものの、水を弾かない羽毛はすぐに
グッショリと濡れ、5分も経たないうちに身体は完全に水の中へ浸かり、頭部だけが情けなく水面に出ている状態。
身体の冷えを防ぐ為、バスタオルで拭き、ドライヤーで乾かしていました。

身体が斜めに傾げながらも立ち上がったのは、矯正具を付けてから半年以上が経過した頃でした。

大腿部の歪みが完全に解消されたわけではありません。
アイガモはストレスに弱い生き物と獣医さんから聞いていたため、立ち上がり、斜めながらも歩き始めた時点で矯正器具を終了。
地面に足をつけて、不自由ながらも歩けている時点で、生存年数の可能性が大分延びるとの事。

他にも保護したアイガモ達はおりますが、上記の子達とかぶる部分が多い為、割愛します。

通風など、病気のあひるやアイガモには通用しないと思いますが、若い子ならば可能性があるかもしれません。

あひるやアイガモは、ショックやストレスを感じると、即、足の麻痺という形になって現れるのだそうです。
その時に人間がいかに正確な知識を持ち、適切な措置を施してやるか。
彼らとの経験は、それがあひる達と健康に、笑って暮らして行くための方法と思い知りました。


傷ついて動けなくなったアヒルがいると連絡を受けて向かった現場では、

 

 

歩けないので、仲間に虐められていた子もいました。
自由に水場にも行けず、体中にダニが付いていた子もいました。
羽根に艶が無く、水や泥が染み黒ずんでいる子もいました。
痩せてか細い鳴き声しか出せない子もいました。

そんな厳しい最悪な状況の中にも関わらず、どの子も目はピカピカと輝いています。
その目は「生きてぇ!」というメッセージを投げかけているようでした。

強制給仕でも、アヒルは飼い主不審になってしまうとの報告があります。
口を開き、餌を突っ込む・・・。

憎まれて、逃げられても、アヒルを長生きさせてあげたい。
また元気になって、いつまでも健康で側に居て欲しい。一緒に居たい。

手術前の麻酔でアヒルが、大好きな飼い主さんに会えぬまま天国へ逝ってしまったケースもあります。

治療が改善されていない現状の中、アヒル飼いの方達が経験した治療や看病をお手本に、獣医師さんの指導の元、何かよい方向に治療法が見つかればと記載しています。

 

(あひるネットワーク2007.9)

 

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