ギブスのガチョウ 飼育係さんとの意見交換

最近は動物病院よりも、動物園の方がアヒルたちの脚の治し方を知っているのではないか?そのように思い、近所の動物園へ問い合わせをしたり、直接出向いて飼育係の方に話を伺っています。神戸の王子動物園で獣医師さんも含め、お話しを伺う事ができましたので紹介します。

脚が悪く関節炎の場合、人間の関節に効く薬の量を調整して与えている。関節炎のアヒルたちの体重を増やさないこと、アヒルたちのご飯は、バーディー/白菜などの葉類/パン等/種取り用主系ビタミン剤で、食欲の無い鳥たちには、人間の薬ポポンSというビタミン剤を与えている。


飼育係の方の知恵で、ヘアバンドのようなO脚防止器具を付けているガチョウに出会いました。お話しを伺ってみると、生まれつきO脚で立ち上がると脚が広がってペタンと地面に付いてしまい、立ち上がって歩くことができなかったそうです。画像のとおり、脚が開いてしまわないようにゴムバンドで止めています。

飼育係の方はガチョウの脚を毎日動かし、O脚が少しでもよくなればとゴムバンドを
使用し工夫したそうです。この状態で歩いていました。私はこのガチョウと飼育係の方に感動しました。諦めずにリハビリを続け、器具を使って歩けるようになっている・・・凄い例だと思いました。更に詳しく伺うと、脚を曲げたままで座らせているとそのままの形で固まってしまうので、発泡スチロールの箱に穴を開けそこに両足を入れさせ、座らせたり、動かない脚を動く方向に曲げてやり、血行を良くし、水に泳がせたりするようです。

体重が脚にかからないようにする

脚が地面に付くようにする


アヒルを飼い接している私が気が付いた事をまとめました 関西会員岡崎

<毎日気にして気を付けてあげる事>

・歩き方がおかしくないか?
・食欲はあるか?
・糞の色等の確認
(前日食べた物の色が付くので、参考にし、血が混ざったりしていなければ良しする
水分を多く摂ると水っぽい糞となるのでそれは気にしなくてもよい)
・脚の爪、脚裏から出血していないか?出血していれば“うがい薬(イソジン)”をうがいの出来る濃さにまで薄め霧吹きに入れ患部にかけて消毒をする。うがい薬なので、万一アヒルたちの口に入っても毒ではないので安心。
小屋や小屋の周辺の消毒にも用いる事ができます。低価格で手に入りやすい
床ずれの傷にも効果あり。


消毒の件ですが、アヒルたちのいる土の消毒や臭い消しには「石灰」も良いと思います。ガーデニングで使用する牡蠣殻を主成分とする商品があります。鳥インフルエンザのニュースで観る映像で、地面が白くなっている粉のような物は石灰です。
牡蠣殻が成分となっているのでアヒルたちには害が無いと思われますが、消毒するなら月に2回程度が良い。

<最低でも月に1回は体重を測る>

私は、人間の体重計で100g単位まで測定できるデジタルの体重計を使用しています。
自分の体重+アヒルの体重で計算します。
(目安)
チェンバレー→3~3.5kg
大阪アヒル→2~2.5kg
胸の肉の付き具合もよく観察します

<食事について>

・ワカメ・ひじきについて
アヒルは水鳥なので、池の藻などを食べさせられるとよいのですが、なかなか手に入りません。スーパーなどで販売している乾燥ワカメ・乾燥ひじきの塩抜きにしたものを使用してみようと思い付きました。ワカメorひじき100cc+キャベツなどの野菜100ccをミキサーにかけたもの
+米ヌカ200cc+バーディ50cc+ハトムギ50cc (1羽分)混ぜる時に水分を多めにすると食べやすそうにしています。アヒルたちの食事は一日一回です。
ワカメは安全なのですが、ひじきは天然のヒ素を含んでいるので2回水にさらし、よく洗ってから使用してください(ひじきの方が栄養分が豊富)●ハトムギについて
漢方薬名は“ヨクイニン”といい、人間が使用する薬で、イボ・おでき等を取る作用があるので、アヒルにもよいのでは?と使用してみる事にしました。薬局に500g→1000円前後で売っています。そのままでは食べにくいので、“ミル”などで粉末にしてご飯に混ぜています。
H18年1月~続けて使用していますが、副作用等もなく元気なのでよいかな?と思いますが、実際に足裏のタコが小さくなったなどの効果はまだ無いが脚の色が濃くなってきたように思うので暫く使用を続けようと思う。
家畜用“くずハトムギ”という商品を広島のJAで販売しており、今現在はその商品を購入使用しています。5kgで3000円前後でした。
家畜用ハトムギは牛の皮膚病に使用されているようです。※個々でも調べて使用してください。

<関節炎について>
以前私が飼っていました北京ダックの“ガッガ”の話になりますが、5歳位から脚のビッコが目立ち始め、おかしいと思い、足裏をよく見てみると大きな趾瘤(シリュウ)症 ・タコができていました。
関節炎も患っていたとは気づかず、動物病院で診て貰い医師から、「なるべく歩かせないでください」と注意を受けたので、小屋に藁を敷き座らせていたところ、今度は歩けなくなってしまったのです。

別の病院で診て貰うと関節炎は悪化しており、手遅れと診断されました。
ガッガにバーディーばかり与えていた事が原因で、野菜不足と言われました。
食事のバランスが悪かったのです。
それから2ヶ月後、ガッガは亡くなってしまいました。
もう1羽の北京ダック“ピッピ”もその頃からビッコを引き始めたので、同じ事を繰り返してはいけないと対策を考えていきました。

脚気という病気に“米ヌカ”が効くと本で調べたので、主食をバーディから米ヌカに切り替えたのです。
野菜をフードプロセッサで細かくし、米ヌカと混ぜバーディを小量かけ与えていくと、ピッピは一ヶ月後には元のように歩ける状態にまで回復しました。
また人間の薬になりますが、『コンドロイチンZS』という市販の関節に効く薬を1日1錠づつ与えています。(調子の悪い時は2錠)
2年近くになりますが、副作用も無く脚もビッコを引く事は無くなりましたが、
米ヌカはカロリーがあるので、4kg近くなり太り気味になったかな?と思うとビッコを引き始めるのです。
体重を測り管理し、3~3.5kg位に押さえています。
年に一度血液検査では異常は見られませんが、レントゲンを撮って見ると関節炎を起こしている左足は完治されず腫れが確認できます。
しかし、これ以上悪化させなければ生活していく上では問題はないので、走り回ったりできる今の状態のまま様子を見ていきます。

羽根の水弾きが悪く水に入っても羽根に水が染み込み泳げないアヒル“カッカ”がいますが、血液検査をしても異常はありません。どうもお尻にある油腺から出る油を体中に塗れないか出が良くないらしいのです。
対策としては、アヒルの調子が良く暖かい日にのみ水に入れるなど工夫が必要なようです。伊丹市のこや池で保護をした北京ダックですが、その時も池に入れず岸でうずくまっていたのです。小さい頃から水浴びの習慣が無かったでは?と感じています。


今まで家鴨は、家畜なので治療をするよりも処分されてきてしまったのでしょう。
獣医師さんでも勉強をされている方は少ないですよね。

治療が進化していない状況でペットとして家鴨と接する方が増えてきたこの頃、
家鴨と接している、家鴨を飼っている私達一人一人が勉強していかなければならないと思い、私の経験や実際に行っている飼育方法を紹介しました。

家鴨飼いの意見や経験を出し合い、『家鴨の家庭の医学』『家鴨の外敵の対処法』
『家鴨の健康法』『野良アヒルのご飯について』などまとめていくと、今まで見えてないものが見えてくるかもしれません。

2006.3.3