アヒル飼ってみたいなぁ

家鴨(アヒル)を飼いたいと思っている方へ

アヒルは可愛いですね。
キャラクターとしても大人気で、アヒルが登場する絵本やグッズをたくさん目にします。TVに登場するアヒルは、人間ととても仲良し。話す声に耳を傾けおとなしく昼寝をしています。でも実際のアヒルは、あなたの側にいる「可愛い」ペットとしては結構大変??

アヒルは、人間と共に暮らすペットとしての歴史がとても浅いのです。人に飼われるということは、ペットとして生涯を共にするためでなく、農家の庭先で鶏やチャボたちと土や草を食み、野菜屑を貰い、弱れば絞めて食べられる、このように人間の側で暮らしていました。

アヒルは家畜(家禽)

人間が羽根や肉を利用するために、マガモという野鳥を改良させ飼いならした鳥です。かなり古くから人類と共に暮らしていたのですが、アヒルがペットとして飼われるようになったのは最近の話になります。

ペットショップの店頭にいるアヒルの雛は、黄色くポニョポニョした姿で「ぴーぴー」と、頼りなさげに鳴き母鳥や仲間を探しているかのようです。

ひなのじかんはみじかいよ

その姿も1ヶ月、2ヶ月と過ぎれば 白い成鳥へと変わっていき、抱っこをすれば産まれたばかりの赤ちゃんくらいの重さになるのです。(3㎏ほど)

始めてアヒルを見る友人や知人は、「アヒルって大きんだね。」「目が怖いっ。」と若干引き気味に・・・、実際に私も、アヒルは大きくなっても鳩くらいの大きさだろうと勝手に思い込んでいたので驚きました。


アヒルは鳥なのですが、鳥籠では飼えない大きな鳥

体の大きくなったアヒルはたくさん食べ、たくさんの排出物(うんち)をします。ビチャビチャ系なので、水が溜まりやすい敷き床な場合、こまめな清掃が必要となります。

土の上やヒノキ枝を敷くなど、敷き床部分が常に清潔に保てるよう工夫してみてください。水はけの良いコンクリートでも良いのですが、固い敷面で足裏が趾瘤(シリュウ)症を配慮し、アヒルのよく居る箇所に人工芝を敷くなど敷き床を柔らかくします。

鳥インフルエンザの予防でも呼びかけていますが、飼育小屋を清潔に保つことやアヒルの飲み水、水浴び場の水をこまめに取り替えることはとても大切です。特に外飼いの場合、アヒルの食べ物を置いたままにするのは厳禁です!餌を目当てにやってくるスズメやカラスなどの侵入も防ぎたいところです。


アヒルには、他の生き物同様に性別がある

雄は成鳥になると尾っぽの羽根が “クルン” と一重カールしてきます。この羽根が「くるりん毛」と、呼ばれている男子アヒルの象徴。骨格はしっかりとしていて雌よりも若干体が大きいです。「クワァ~クワァ~。」と、こもったような優しい声で鳴きます。

しかし雌アヒルの鳴き声は、誰もが知っているドナルドダック(♂)の「ガァガァ!」となります。え?!雌だけ「ガァガァ」?雌には声帯がないので直接鳴き声が出てしまうためだとか、アヒルといったら、ガァガァ!は定番なのですが、実は雌アヒル特有の鳴き声だったのです。

「ガァガァガァガァッ!(ご飯が無いよ)」 「ガァガァガァガァッ!(早く起きて)」その声は辺り一面に響き渡り、すっかり飼い主は早起きに・・・(-д-`)

お困り相談の多くは、集合住宅やマンションでの鳴き声です。「ペットショップでは雄と言われたはずなのに、」値札には雄との表示が、雌だったなんてこともしばしばあり、雛時の性別判断が難しいためだと思います。白い姿のアヒルとの表示で購入したはずが、アイガモ(斑柄)だったことも報告されています。


飼育環境を整えてから迎える

アヒルを飼うと計画された際に、まず取り組んでいただきたいのは、飼育環境の整備や準備です。鳴き声や排泄物のことを考えると、アパートやマンションの一室での飼育はとても難しく、一緒に住むご家族の理解や協力も必要となってきます。細かい羽根が常に抜けるので近所の方たちへの配慮も不可欠です。

アヒルはお世話してくれる飼い主さんを認識できますが、犬や猫のような糞の躾は、まだまだ改善中という段階、というか・・・自由にいつでもします(´-`;
沼地に生息していたマガモの習性からでしょうか、汚し屋さんで泥んこ大好き♪泥水を嘴でグチュグチュする遊び(?)が大好きです。

特に水場など綺麗に水替えをした途端、嘴で土をホジホジとその水の中へ!!!
この嫌がらせとも思える行動は、慣れると「またかっ」と思えてくるのですが(;´Д`)


アヒルの容姿

先祖が水鳥のマガモということもあり、体のしくみは水上で暮らす水鳥とほぼ同じ。足の指は4本・前方にある3本の指間に水掻きが付いて後ろ側に1本指、水掻きを含めた脚部全体は、柔らかく足の指先にはしっかりとした爪があります。

骨格がまだ柔らかい雛のころ、狭い場所やケージ内で一日中過ごすと脚が湾曲になってしまったり、立て歩けなくなるというケースが幾度も報告されています。ペットショップで販売期間の飼育についても注意を呼び掛けることもありました。(保健衛生所からペットショップへ業務改善命令)

自力で立ち上がれなくなると、胸やお腹を常に床に着けた状態で過ごすことになるため、床擦れでお腹の羽根がなくなり、ジクジクした皮膚病のようになりなかなか治りません。立てなくなれば羽根繕いも自由にできなくなります。

私たちが一般の家庭で飼育するアヒルは、大きな水場が用意できる環境はなかなか難しく、ほとんどのアヒルが地面で過ごす生活になるでしょう。脚に負担を掛けないことも考え、体重管理も重要となってきます。

人間と同じようにアヒルも個々にあった体格・骨格があるのだと思いますが、与えれば喜んで食べるからといって、量を定めず次から次へと与えていては、アヒルは巨大化していきます。アヒルのほとんどは肉として出荷されるため、大きく太るよう脳みそに「食べなさい。大きくなりなさい。」と、インプットされているようです。そのように人間が改良したのです。

私たちは食べる為に飼育しているわけではないので、太らせないことが健康で長生きさせる秘訣です。

もっともっと頂戴よっ!と、たくさん欲しがるアヒルには(ほとんどの北京ダックが大食漢で食いしん坊)主食のzoofoodやペレットを抑え、野菜や果物で食事を水増してください。可愛そうなのだけど。


換羽がやってくる

ある時期がくると羽根が一気に抜けますが、病気ではありませんので安心してくださいね。
アヒルの換羽 ある日アヒルの羽根がバッサバサと抜け始める?
(゚д゚)


アヒルを購入するにあたり

アヒルを公園に連れて行くと多くの見物人に囲まれます。
よくCMソングの「お金は大事だよ~♪」と掛け声のように唄われていました。

「わぁ!アヒル?!さわらせて! 抱っこさせて!」 子供たちが集まってきます。目を輝かせながら私を見上げ、

「ねぇ可愛いね、アヒルっていくらするの?高い?」と質問攻め。

「このアヒルは、1280円だったよ。」そう答えると、

「えっぇ~~!?安いっ!10万円位かと思った。それなら私のお小遣いでも買えるねっ。」ニコニコと笑って、アヒルの頭を撫でていました。

「アヒル飼いたいの?」

「うんっ お母さんに相談してみる!!!」


終生飼養の責任

春先から初夏にかけてペットショップの店頭で販売しているアヒルの雛を見かけます。

「アヒルって安いんだね~、飼ってみようか?」
「私のペットにしたい!」
アヒルに興味を持った人たちが、手に取り撫でながらホワホワな雛たちを眺めています。安い値段で購入できてしまう、この安価に買えてしまうことをとても危険に感じます。夜店でヒヨコを飼う感覚と同じくらいな手軽さです。

その後、

「鳴き声がうるさいなぁ、こんなに大きくなるのか面倒くさいよ。」

「懐かないし、噛まれて嫌だなぁ。」

そのように感じてしまうかもしれません。日々のお世話が面倒になった、もう飼っていけないかもしれない。そんなことから、

「近くの川に同じアヒルがいたな、仲間もいるし逃がしてしまおう。」
「自由にしてあげよう。」
ふと、こんなことを思ってしまうかもしれません。

逃がす・・・・?自由・・・?!
同じ姿の水鳥がいるからといって手放すのですか?

それは逃がすのではなく、自由を与えることでもなく、棄てるということです。
動物遺棄として罰せられてしまいますよ。
アヒルの飼い方
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法) 

アヒルを川や池に逃がしてはいけません。
私たちが絵本やイラストで見ているアヒルのようにアヒル同士仲良くHAPPYには暮らせないからです。

「どうして?あんなにノビノビと泳いでいるじゃない?」

大きな水場で泳げることがアヒルの幸せではないですよ。

アヒルたちは家禽化された時点で飛ぶ機能は失われています。大きな翼を持っていながら飛ぶことができないので、餌を十分確保したり、居心地のよい住処に移り住むこことができません。その場に居るしかないのです。

先住アヒルや水鳥との争いや交尾で、雄アヒルでも、雌アヒルでも、その場の生活に馴染もうと苦しみます。同じ種だから仲間として歓迎されるとは限りません。縄張り争いという厳しい環境の中、攻撃を受けて死んでしまうこともあるのです。とてもアヒル同士が争ってできる傷とは思えませんでした。柵が完備されていない池や川では、狸・イタチ・ハクビシンという外敵も目を光らせています。

雛のころからずっと飼い主さんと暮らしてきたアヒルは、飼い主さんや一緒に暮らす人間を自分と同じ仲間なのだと感じながら成長しています。

アヒルは飼い主さんのことをお父さん、お母さんと親のように思い暮らしているのです。

アヒルにも感情はあります。痛みも辛さも感じるはずですよ、棄てちゃダメです。外敵は野生動物だけはありません。人慣れしているアヒルほど人間に近寄り、悪意があって近づいてきたこともわからず危害を加えられてしまう。信じた人間に裏切られ、また人から酷い目に遭う、そんな苦しいおもいをさせてはいけません。

一緒に暮らしてきた家族の一員。

アヒルを迎えた日のことを思い出してください。

動物遺棄は犯罪です。むやみに放す事は罪になります。

家鴨(アヒル)を飼う=家族が増える。

もう一度飼う前に一緒に住むご家族と話し合ってください。

飼育については、私達のwebサイトをご参考ください。


あひるネットワークは、終生飼養の責任・飼育知識の普及・遺棄防止を呼び掛ける活動を行っております。


改定2006 改定2008 文章改定2018 西田弥生