ある時期になると硬い軸のある大羽根が、突然抜け始めます。
(これが人間の親父さんの髪の毛だったら悲鳴モンですね(|||Д゜)ヒャッ!)
これは、換羽(かんう)がやってきたということです。換羽(別:トヤ)
換羽とは羽根の生え替わりです。
以前このページでは鶏の換羽を取り上げ説明していましたが、先祖のカモの換羽について関連させながらまとめてみました。
ある日突然、綺麗でしっかりと根付いていた羽根が、 どんどんと抜けていってしまうので飼い主は慌てます。
「何か変な病気なのっっ!?」
そしてネットで「水鳥の羽根」と検索すると、“水鳥の羽根100%寝具”という、ダウン素材の広告が出てきたりします。
「・・・・?やっぱり鳥の病気なの?!」
羽根が抜け代わるのは、先祖が水鳥のカモだったアヒルにとって自然なことです。その換羽を北京ダックと同じ家鴨のアイガモと同じ柄を持つ、マガモの雄で調べてみました。
・相手探しのアピール時期と繁殖期(男前期間)
冬~3月 繁殖期:4月~8月ごろ
頭が緑で羽根全体に鮮やかな模様の入った本来のツヤツヤな姿でいられます。
・雌と同じ茶系になる(女装期間)
9月ごろ~冬
繁殖期が終わり渡りを迎える秋ごろになると羽根が抜け替わり始めます。雌と同じ茶色柄となり、ポサポサな容姿となってしまう。
通常のアイガモ(オス)
換羽期のアイガモ(オス)
同じアイガモでもこんなに様変わりしてしまうのです。
代羽(艶々な男前)
↓
完全換羽
↓
基羽(ポサポサ貧相)
↓
部分換羽
↓
代羽・・・ と、繰り返しています。
求愛時期と繁殖期には、子孫を増やす為に男前の姿となり雌にアピールをしておき、その時期が過ぎると産毛だらけなちょっと情けない姿に?
「別にオシャレなんぞしなくてもいいわぃ!」と、お着替えをします。活発に活動することもなく、枯れ草色に変身して沼地や草の茂みに身を隠し、次回のアピールの季節を待つのだと思います。
アイガモも換羽中は貧相な姿になります。あんなテカってたのに・・・。一見雄か雌か区別がつかないほどに。しょんぼりと元気がなくなります。換羽時の体温低下が原因かもしれません。
マガモはエネルギーを脂肪や筋肉として体に蓄えておくことができます。換羽で羽根が抜けて飛べなくなり餌にありつけなくても、換羽前に蓄えたエネルギーを使い換羽時期を乗り越えます。そんな水鳥のサイクルを家禽化された家鴨も受け継いでいるのだと思います。
皮膚病やストレスから抜けているわけではありません。食欲が減退し、いつものように動かなくても心配ありません。雄だけでなく雌も同様羽根は抜け替わります。
嘴でお腹の羽根だけ毟っていたり、一部分だけ突っついて抜いている場合は、換羽とは別の問題があるような気がしますので、掛かり付けの獣医師さんへご相談ください。
アヒルはどんな風貌になってしまうのか?
大羽根が抜けた後、ストローの芯のような太い羽軸の元が生えて、人間の頭垢よりも大きめの白い粉がポロポロと落ちてきます。
この芯をよく観察してみてください。羽軸が少しずつ開いて新しい羽根が生えてきます。大羽根がすべて抜けたアヒルは、背中に“天使の羽根を付けたような”
小さい雛ちゃんに戻ったかのような風貌に・・・。
「超かったるいんじゃっ!」「触るなよ~。」というような態度とは裏腹な、かわゆい姿になってしまいます。暫くすると元の姿に戻りますのでご安心を!
羽の鞘(=筆毛)大羽根が抜けた後
抜けた箇所が痛むのか?抱っこしても逃げ回っていました。 大羽根が抜けた後、新しい羽根が生え始めています。
クリーム色っぽい羽根なので、新しい羽根と今までの羽根と違いがくっきりしています 。
パッと見「皮膚病?」と思えるくらいバサバサ抜けます。ちょっと気味悪い感は否めません(_ _ ,)
スズキ(保護時推定年齢10歳)のような高齢アヒルでも必ず換羽はやってきていました。
改定2010年 2018年 2021年 西田弥生