鳥インフルエンザとアヒル

改定2016年 文章改定2018年 文献を参考に獣医師さん、野鳥の会の方の意見も交え、一般のアヒル飼いからの目線でまとめたものです

動物園の鳥たちも、野鳥も被害者

鳥インフルエンザとアヒル インフルエンザのウイルスを知る

インフルエンザのウイルスには、A B C型があります。A型の一種を鳥インフルエンザと呼ばれています。

ウイルスの表面には、突起物のような免疫反応を引き起こさせる物質、スパイク抗原があり、その種類(亜型という)によって区別されています。[組み合わせで144種 H1N1型→スペイン風邪  H2N2型:アジア風邪など]
鳥はすべてのA型ウイルスに感染するのですが、人に感染する種類は限られています。インフルエンザは、スパイク抗原が対象生物の細胞表面にあるシアル酸(糖の一種)と結合して細胞内に侵入します。シアル酸の構造が鳥と人とでは異なるので、鳥インフルエンザは人には感染しません。

鳥インフルエンザのうちは人には感染しないのですが、他の動物に感染してウイルスが変異を起こす新型のインフルエンザになる場合があります。家畜のブタは、鳥インフルエンザにも人のインフルエンザにも感染してしまいます。

鳥インフルエンザがブタに感染

体内で人のインフルエンザの遺伝子を取り込む

人にも感染する新型インフルエンザウイルスが誕生する

鳥インフルエンザが発生した場合、鳥以外の生物に感染させないように、発生農場を中心とした半径3キロメートル以内の区域で、家きん等の移動が禁止されます(移動制限区域)。これは人に感染する新型インフルエンザを誕生させない為です。

新型のインフルエンザになるとそれは鳥には感染しません。

鳥インフルエンザは、ウイルス感染です。
菌(細菌)は、単独の細胞で自分自身で糖などを栄養にして増やすことができます。⇒サルモネラ菌、食中毒など
ウイルスは、菌のように単独での複製能力はありません。細胞の中で、細胞を宿主として増え続けます。


自然宿主についての理解

以前このページで、「A型ウイルスは、水禽、水鳥のカモが起源と考えられていて自然宿主として、現在知られているすべてのA型ウイルスを保有している。自然宿主とは、元々鳥インフルエンザウイルスを持っているということです。」と記載しましたが、より深く文献を読見返し獣医師さんの意見を伺うと、自然宿主という意味を元から水鳥や水禽類が体内に自然に保有しているという解釈は、間違っていると気が付きました。

正しくは↓

鳥インフルエンザウイルスの宿主である、カモ類などの水鳥からは、すべての亜型が見つかっています。水鳥は多くの場合、感染しても明らかな症状を示さないことから、常に持っているということではないが、感染した場合にインフルエンザウイルスを持ちながら、無症状で病原体だけまき散らす。インフルエンザウイルスの自然宿主(本来の宿主)と考えられている。

インフルエンザウイルスは、もともと野生のカモ類などの水鳥を感染相手(宿主)として、主に腸内で増殖をするのだけれど、健康を害することはなく宿主を殺してしまうこともない、そのような性質を持っています。

ウイルスにとって水鳥の腸管は、居心地のよい環境であるとともに、宿主の水鳥にとってもとくに不都合がなく、共存してきたウイルスです。インフルエンザウイルスには、宿主との相性があり、本来の宿主から他の動物へ宿主を広げるには、異なる種の間に存在する壁を乗り越えなければなりません。

感染が伝わる過程での遺伝子に変異が起こり、強毒株になったものが高病原性鳥インフルエンザです。H5N1型など

水鳥のもつ病原性のない、H5亜型のインフルエンザウイルスをニワトリに接種していくとどうなるのか?
高病原性はニワトリで変化する

参考文献 日本野鳥の会「ほおじろ」「「野鳥[特集]高病原性鳥インフルエンザ」 国立感染症研究所感染症情報センターHP


私たちが気を付けること

鳥インフルエンザに感染した鶏は、喉やお腹でウイルスが増えて、鶏から鶏へと次々に感染して死んでしまいます。流行や蔓延を防ぐには鶏の死骸と感染した鶏の養鶏場にいた鶏、養鶏場のすべての餌を焼いて埋めるという、殺処分処置をとらなくてはいけないと法律で定められています。

家畜伝染予防法より

 


家禽の感染症状

顔面や全身に腫れがみられる、呼吸器の様子がおかしい、ご飯を食べない、下痢、他

人間の感染症状

結膜炎、インフルエンザ時の症状、他
予防方法は、人間のインフルエンザの予防と同じですが、鳥インフルエンザのワクチン予防は、日本では実用化されていません。


日頃注意すること

・家禽、私たちの飼育するアヒル

野鳥との接触を絶てるように、屋根があり網や柵で囲った小屋で飼う。野鳥が訪れる水場、川、池などにアヒルを連れて行かない。その場の水を飲ませてはいけません。小屋を清潔に保つ。

・飼育する人間

小屋の床を毎日洗うか糞を取り除き、排出物をそのまま放置しておかない。清潔に保てるように、床の排水完備を整え、臭いや汚れを管理できるようにする。アヒルに触れた後や小屋を掃除した後は、必ず靴裏の消毒、手洗い、うがいをよくする。

湖や公園を訪れる人間が、ウイルスを靴や衣類に付けて持ち込む 媒介者にならないよう、注意が必要です。キャンプ地などの水辺と飼育場を結ぶ行動は避けてください。
消毒・対策例 宮崎県
消毒・対策例 鹿児島県出水市


日本での発祥理由は、渡り鳥なのか、野鳥なのか、周囲に生息する野生動物からなのか?動物からの感染の他、人間の靴や荷物などに付着したウイルスを、海外から持ち運んでいるのではないかなど、理由がはっきり解明されていません。
感染経路も不明な部分が多く特定できない現状が何年も続いています。

一般の家庭で飼育されている家鴨(北京ダック、アイガモ)からは、鳥インフルエンザウイルスが検出される例は報告されていません。

鳥インフルエンザが鳥から人へは、シアル酸の関係で感染しないはずが、稀に海外では感染報告があります。家禽から人への感染は、ウイルスを大量に含んだ感染家禽の糞、羽毛、死体、臓器等と濃厚な接触があった場合に多く起きています。
生きた生体を野外で捌き、血や肉を素手で触れそのまま販売する、乾燥した糞や排出物が舞う養鶏場と人の暮らすスペースが同じだったなど、白鳥の羽根を毟り取り出荷していた作業者の感染報告もあります。日本では衛生上考えにくい環境です。

変異した鳥インフルエンザウイルスは、免疫力の弱った人間に襲いかかり、これぞとばかりに人間の細胞の中に強引に侵入します。

入り込んだ人間の中に、別のインフルエンザウイルスが存在していたとしたら、鳥インフルエンザウイルスは、ウイルスの形を変えて広まろうと益々威力を発揮します。ウイルスは細胞の中で増えて病気を引き起こす悪さをします。

日本では人から人という、ウイルスが形を変えて別のウイルスになり感染するケースは、疑いがあってもきちんとした報告にはなっていません。通常のインフルエンザと比べても、感染例や死亡数は限られているのですが、変異を繰り返し人間に感染しやすいウイルスに変わってしまう可能性を恐れています。

ウイルスが「種の壁」を乗り越え、より人間に感染しやすい新型のインフルエンザが出現するのを防ぐ為にも、野鳥や家禽内での発生にとどめ、封じ込めていくことが重要となります。発生した地域に移動制限区域が設けられることも理解しなければなりません。

↓家鴨、ガチョウ、うずら(家畜)をペットとしている私達の提言及び、要望書の一部。
2004年3月17日、提言及び要望書を関係機関(農林水産省、厚生労働省、首相官邸、環境省)へ提出

ワクチンの使用は、終息を妨げることがわかってきました。今も日本では鳥インフルエンザのワクチンは使用されていません。ワクチンは発症を抑えるもので、完全に体内から追い出す為の“特効薬”ではありません。襲いかかってきたときに、症状を潜伏期間内に留め、軽減するものだと認識しておきましょう。
元々の病原菌から作られ、事前に接種することによって、体内に抗体(免疫を付ける)を作ることです。

鳥インフルエンザに関する情報 農林水産省