発情について

 

「飼っているアヒルが凶暴で困っています。今まで懐いていたのにどうして?」
家族全員を追い駆け回し噛みつくので、手に負えないと手放す飼い主さんもいました。

ここではアヒルの発情についてお話しします。


人間に噛みつく行為は雄アヒルによく見られます。

雌アヒルは繁殖する季節を迎えると、低い姿勢で背中を固く水平にさせ、「撫でて~撫でて~~。」と催促しながら、マウントしやすいポーズをとります。(求愛のポーズ)

どちらも繁殖期を迎えた頃、繁殖の対象に向けておこなう行為の現れです。

1羽飼いのアヒルは、他にアヒルの姿を見たことがないので、飼い主さんを自分と同じ仲間と思っているのか、

「おいら、人間だもん。」「あたち、人間っ。」
人に交じって人間と勘違いしているような行動がよく報告されていますね。

水鳥の自然な繁殖期は4~8月頃までです。一年中いつでも発情を続けることは、アヒルの体によくないことが次第にわかってきました。野鳥の遺伝子が残っているとはいえ、家禽になった頃から自然の流れに沿った生き方ができなくなっているのだと思います。


産んだ卵に興味無し。

アヒルが根気よく温めることをしないので、「代わりにチャボに温めさせて孵す。」年配の農家の方からよくこのようなお話しを聞きました。産業動物として改良されたために子孫を残すという意識まで、変化が起こってしまったのでしょうか?

しかし稀に飲まず食わずで、温め続けようとする雌アヒルもいます。

このように敷き床にあった藁を集め巣作りをしながら、根気よく温めようとします。
一時も離れず餌も十分に食べずに、温めることに執着するので、1羽飼いの無精卵だったこともあり、温めていた卵を処分することもありました。無くなった卵を探す姿を今でも覚えています。

このように温めて雛を孵化させたケースも数多く報告されています。


発情して興奮状態になったアヒルを抱っこしている様子です。アヒルのペニスは肌色で螺旋状。お尻から腸が出ているように見えます。

アヒル用語でいう、ブハブハ状態ですね。噛みつかれたり、水掻きの爪で引っ掻かれるので長袖を着用しています。

 

庭のサンダルや靴に発情するアイガモ君もいました。

 

雄雌の交尾の様子

雄は雌の体を固定するため、頭部や首、目の付近を噛みつきます。雌の後頭部が傷付き、皮膚が切れて流血することもあります。

皮膚はただれ、酷い傷となってしまいます。


コールダックの嘴で噛まれた跡

アヒル(家鴨)だけではなく、小さいコールダックにも発情はあります。アヒルにもそれぞれに個性があって、発情が盛んなアヒルもいれば、それほどでもないアヒルもいます。

この繁殖期の発情についてどのように向き合っていくか?どのように接すればアヒルと人間は良い関係のままいられるのか?

アヒル飼いの方たちの経験や知恵をまとめ、良い対策を見つけようと情報を集めているのですが、なかなか難しくこの方法がベストという結論は出ていません。

室内で共に暮らす雌アヒルが卵管の病気になり、その際に学んだことを文章にまとめていますので、参考までご覧ください。


飼い主は可愛いからといって発情の相手をしない。

無視をするということです、(という結論に)

【説  明】

身近にいる飼い主が相手をすると、本来水鳥が持っている繁殖/非繁殖期を無視したサイクルで発情状態になり、アヒルは体力を消耗させてしまいます。

そのアヒルの本来持っている体質にもよるのですが、雄なら精巣、雌なら卵管などの生殖器系の病気(炎症、腫瘍等)になる可能性が高くなってしまうことがわかってきました。

では、どうするのか?

対策として、アヒルの健康と長生きのために心を鬼にして無視する。
体に触らない、返事をしない、目を合わせない。

(いやぁ~、でも今まで可愛がってきたのに無視するなんて・・・、
特に室内飼いとなると果たして守れるのだろうか、難しいですよね。)


・部屋飼いよりも外飼い

…夏や冬の過ごしにくい気温と、人間との適度な距離が発情を抑制します。
室内だと夜遅くまで電気が付いていたり、人の気配を感じる為本来の昼・夜の時間のサイクルが不規則となる

・1羽飼いよりも複数飼い

…複数で飼うとアヒル同士で発情を迎え、年中発情するということが薄れます。
多数飼いでも交尾は雌の負担になるため、雄1羽:雌3羽ほどの比率が良いと考えます。

・太らせない・体重管理

…アヒル個々の骨格や体型があると思いますが、普段から野菜を多めにする。
食べるから与え続けるのでは無く、カロリー、蛋白質、脂質を低めに抑えましょう。

・お気に入りの場所やおもちゃを取り上げる

…雌が特定の場所で卵を産む場合や、サンダル相手に発情している雄の場合など、
お気に入りのものを取り上げ、ストレスを与えることで発情を抑制する効果が望めると考えます。

・適度な運動で発散させる

…水浴びや土いじり、広い場所での羽ばたきなどによって昇華させる。

・室内飼いの場合、日没以降は部屋を暗くする

…人間と生活スペースが同じ場合は、夜は早めにケージを布で覆うなど、
光が届かないよう工夫します。日照時間を8時間以下にすると良いという意見もあります。

・室内飼いの場合、快適な室温にしすぎない

…夏は暑く、冬は寒い、という本来の環境を感じさせる。

これらの工夫をしても発情が治まらない場合もあります。
異常な卵を産んだり、お腹が腫れているなどの症状の場合は、信頼できる獣医さんに相談して下さいね。


自然の環境に近くする。

人間が接し過ぎない、構い過ぎない。

本来の野鳥としての生活習慣に近づけるということでしょうか。

私たちが触れ合い、飼育するアヒル(家鴨)は、まだまだ内面には水鳥本来の習性を秘めていて、現代の生活環境に対応して生きていこうと迷ったり、苦しんでいるのかもしれません。

同じ仲間と群れで過ごしながら身につく成長の過程をどう学ぶのか、アヒルが過ごしやすいように改善する努力が必要なのでしょうか。

「甘えてくるのに無視できません。」

このような問い合わせもあります。

そうですよね。ペットだから可愛いのですよ、その要求にも応えてあげたい。
本当に難しい問題です。

これからもどう向き合い、アヒルにとってどのような対策が良いのか情報をまとめていきます。


人間でも健康に気を付けているのにも関わらず、病気を発症してしまう場合があります。

庭で犬と一緒に飼われていたアヒルの実例があるのですが、そのアヒルは飼い主が特別にアヒル専用のご飯を作るわけもなく、夜寝るときも犬と一緒でした。

ご飯はドックフードのみ、

足裏や関節を痛めることもなく、ぶっとい足で犬と駈けずり回り、水浴びは大嫌いで真っ黒けっけ。でもとても長生きさんなアヒルでした。

飼い主さんが食べる物を規制して、飼い方を工夫されていても病気で亡くなるアヒルもいます。

「こんなことなら、好きな物を与え好きにさせてあげれば良かった。」
そのような声を聞くと辛くなります。何がアヒルにとって良いことなのか、今もアヒル飼いのみんなが悩み、考え、模索しているところです。

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