被災地癒し隊 小さなアヒルたち 2011.6月 会員岩瀬さん
会員の方でALL BiRDSという愛鳥家専門誌に飼育記を掲載されている方がいらっしゃいます。ここでは、その専門誌に掲載されていた心温まる記事を抜粋し紹介したいと思います。
以前より東北地方へ依頼があり、アヒルを届けるなどして交流があった被災地域、
残念なことに今回の災害でそのアヒルたちはすべて亡くなってしまったそうです。
飼育されていたのは子供会の会長さん。家屋も職場も多大なる被害を受け、子供たちと心を通わせ育てていたペットたちも失ってしまった。
会長さんは「子供会の会長として、災害で心に傷を負った子供たちを元気にしたい。」辛いながらも気持ちを切り替え、前に進もうと立ち上がっていました。
このような連絡を受け、会員の方は「一体今自分に何ができるのだろう」と模索していました。今現在飼育している動物たちの為に家を空けることはできず、募金という形でしか表せない・・・
歯がゆい。という気持ちでいられたそうです。
そんな中、有精卵の卵を送付しようと思いついたのですが、
「まだまだ混乱の中ペットどころではない。」「強引に送れば迷惑になるかもしれない」 迷いながらも会長さんに問い合わせをされたそうです。
返事は「ぜひ!お願いします。電気もやっと通ったところで、子供たちに話したところ目を輝かせています!」との内容で、まだまだ通常の郵送ルートが整っていないだろうけど、どうにかして送付までこぎ着けたようです。
到着した卵は無事に孵化し、新しい命は誕生しました。
「あなたが東北に春を届けてくれました。ありがとう。」
会員の方は、無力な自分がほんの少しだけど力になれた。とこの一件についてある雑誌のコラムで伝えています。
「生きるか死ぬかの状況で、ペットなんていらないと思っていたがそれは違っていた」
そう綴っています。
被災地の映像やニュースを観ている限りでは、ペットは二の次だろうと思わずにはいられません。
被災された方たちを応援したい。何か力になりたいと、
芸能人や著名人の方たちは、炊き出しをしたり、歌を届けたりと様々な方法で
「自分にできること」を探し、実行しています。
私は、自宅に戻れなく避難所へ居られる方たちが何を求めているのか?
炊き出しも、歌も、ショーも、その後にその方たちが去った後はとても寂しさが残るのではないか?と思ってしまうのです。
以前あった普通の暮らし。
アヒルたちを飼育していくことは、毎日面倒を見ていく、掃除もする、餌も調達する。そして、アヒルの成鳥をみていく。見守る。
一時の楽しさよりも継続した何かがあります。
普通の暮らしを少し取り戻す。
そんな感覚を「被災地癒し隊」の小さな命たちは、子供達だけでなく大人達にも
かけがえのないものになっていくのではないかと感じました。